ゲームの里

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ヴァンパイア十字界 / 紹介・レビュー

作品情報

ヴァンパイア十字界
ジャンル:バトル、頭脳戦
作画:木村有里/原案:城平京
連載雑誌:月刊少年ガンガン
連載期間:2004年~2007年
単行本:9巻
特徴
  • あらゆる意味で漫画界最強の主人公
  • たった9巻に濃密に詰められたストーリー
  • 管理人的にはトップクラスにお勧めな作品

あらすじ(Story)

ヴァンパイアの青年「ローズレッド・ストラウス」はかつて栄えたヴァンパイアの王国「夜の国」の王だったが、その優秀すぎる能力を恐れられ、元老院は女王「アーデルハイト」を人質にストラウスの処刑を目論んだ。いざ処刑が行われようとした際、アーデルハイトは狂乱し、その高い魔力を暴走させて「夜の国」は滅んでしまう。
その後、人間とダムピール(人間とヴァンパイアの混血人)によって女王は封印され、愛する妻を失ったストラウスは、守るべき血族も祖国も捨て、全てに敵対しながらも、女王の封印を解くために数千もの封印の破壊に渡り歩くのだった。
そして千年の時が流れた…。

長所(Good point)

★信念に生きる主人公
  • 主人公は「愛する女王を救う為、全てを犠牲にして動いている元凶」とされているが、実は多くを救う為に自らを犠牲にして何百年も行動していた事が終盤で明らかになる。
  • 究極の自己犠牲だが、その信念や行動力には感銘を受けずにはいられない。「主人公がチートすぎる」「主人公が至高の王すぎてメンタル的に理解出来ない」という読者もいそうだが、管理人的には好きな主人公です。
★複雑ながら分かりやすいストーリー
  • 主人公、ダムピール勢(人間とヴァンパイアの混血)、ブラックスワンの3すくみで度々戦闘が繰り広げられ、状況は二転三転する複雑な話となっているが、不思議と「ワケ分からん状況」にはならない。
  • ここまで複雑な話だと矛盾点が出てきそうなモノだが、本作においては何周か読んでも見受けられなかった。よく練られた話だと思う。

感想(Review)

アニメ放映等もあって有名な「スパイラル~推理の絆」と同じ原作者の漫画で、知略や予想不可能な展開が魅力な作品です。個人的にはこっちの方が圧倒的に面白いです。

タイトル通り、主人公「ローズレッド・ストラウス」というヴァンパイアが活躍する話となってはいるが、吸血鬼要素は全くありません。「ヴァンパイアという超人種が実際にいた」という歴史背景を除けば、現代社会がモチーフとなっています。参考までに、各種族についての特徴は以下の通り。
ヴァンパイア
外見は人間と同様でありながら高い身体能力と魔力による超常的な力で地球最強クラス。人間との生殖すら可能で、弱点は「日光を浴びると塵となる」事くらいである。本作では吸血の必要性やニンニクや十字架に弱いといった特徴は全く無い。最強な存在でありながら野心は無く、人間と共存したいという温厚な考えを持つ種族。
ダムピール
ヴァンパイアと人間との混血。ヴァンパイアには及ばないものの戦闘能力は高く、魔力と霊力を使い、日中も行動可能(但し戦力は8割方に落ちるらしい)。ストラウスの元養女ブリジットがダムピールのコミュニティを形成して隠れ住んでいる。ヴァンパイアの死骸を使って人間になる儀式を行う為に主人公と敵対している。
人間
地球に住む人型生物の大半を占める種族。現代においては何の力もないが、千年前は霊力を使って超常的な力を使っていた。それでも個々の能力はダムピールにも及ばず、かつてはヴァンパイアの力を恐れ、夜の国と敵対していた。
ブラックスワン
現存する2人のヴァンパイア(主人公とアーデルハイト)を殺す為に千年前に生み出された霊的存在。憑依された人間は驚異的な身体能力と霊力を獲得し、両腕は魔力を完全遮断する特性を得る。但し先の両名を約5年以内に殺害出来なかった場合、黒鳥に食い殺される使命を追う。その際は戦闘経験と記憶を次代の黒鳥に引き継ぎ、ヴァンパイアを殲滅するまで継続される。
純粋な戦闘能力はダムピール程度だが、魔力完全遮断と主人公との何代にも渡る戦闘経験により、主人公と対等以上に渡り合える唯一の存在。
以上により、戦闘相性的には【ヴァンパイア>ダムピール>ブラックスワン>ヴァンパイア】の3すくみとなっており、力関係が拮抗している分、何が起こるか分からないのが面白い。
ストーリージャンルとしてはバトルモノとも言えますが、どちらかというと知略・戦略が主な話となっています。簡単にあらすじでも述べたい所ではありますが、スパイラル同様に簡単に説明出来る様な内容では無い為、話については作品を実際に読んで貰いたいと思います(´▽`;)

管理人的に好きな部分は、やはり主人公が信念に生きているカッコ良い人物という事ですね。
ある出来事から人間とダムピールが敵対関係に陥ってしまい、ヴァンパイアの王であった主人公が全ての敵になる事で両種族を共闘・共存させたという、前代未聞の政策をやってのける。



本心を隠し、忌み嫌われる言動を飛ばし、守るべき者達から命を狙われ続ける。まさにダークヒーロー。

これ以上無い程に自身を痛めつけ、その果てに報われる事も無い、言ってしまえば完全なる自己満足ですが、そうありたいという信念を貫き続けるのは凄くカッコ良い事だと思います。自身が辛くても誰かの為になれるなら、自分を誇れるし頑張れると思う。といっても千年狙われ続けるとか、常人なら絶対に心が折れてると思いますが(´Д`|||)

といっても、いつでも超然としているワケではなく、悩んで苦しんで、その度に乗り越えてきています。例えば「ゴルゴ13」やスパロボの「シュウ・シラカワ」等の様に「弱みを全く見せないロボットの様な強さ」というワケでもない所が個人的には好感が持てます。

かつて夜の国の大将軍だった主人公は、完璧すぎる事から民に頼られ、上昇志向を持って民の為に頑張り続け、後に至高の王とまで呼ばれる存在となりましたが…

それだけに民の為に頑張りすぎる事が常で、皆が良くあろうと常に自分を犠牲にして頑張り続け、最後の最後でブラックスワンとの死闘の末に主人公は死亡する事に…。
まさに出来なかった事ばかりを数えて、千年以上もの間、自身を傷め続けた人生でしたが、最後の最後にそんな自分を許せたのは感動しましたね。

管理人も比較的に割りの合わない信念を持っては自身を傷め続けてるタチなので、信念を持って皆の為に行動してきたストラウスは尊敬に値しますね。上司にしたい人ナンバー1ですね!(゚∀゚)
星をも砕く力、宇宙でも戦闘可能、卓越した知能を持つ…漫画界最強なんじゃないか?と思えるチートっぷりも見てて爽快感のある作品でした(´▽`)

名シーン集

主人公が夜の国の王であった頃、その圧倒的な力を元老院に危険視され、女王を人質に処刑されそうになるシーン。

ストラウスの願いは「民の平安」で、自身の存在がその妨げになるのであれば喜んで死のう。という王としての信念すら感じるシーン。
「私の命など塵と同じに扱って構わん」「では処刑台に上がらせてくれ。こう突っ立っているのは間が抜けていよう」とかカッコ良すぎるだろ(´Д`)

主人公が千年以上もの間、全てに敵対してきた真の理由が明らかになった時、実際に何人も殺害した事について糾弾されるシーン。

ある程度死者を出す(あるいは出してしまった)事で「悪」である事を示し続けた主人公。誰も殺さない事がベストではありますが、それでは不審がられるし、実際無理があるでしょう。だからこそ殺してしまった人物は心にずっと留めていようという信念を感じたシーン。

他にも色々ありますが、長くなるのでこの辺で(´▽`)


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