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三国志(横山光輝版) / 紹介・レビュー

作品情報

三国志(横山光輝版)
ジャンル:歴史(フィクション)、軍事、政治
作者:横山光輝
連載雑誌:希望の友、少年ワールド、コミックトム
連載期間:1971年~1986年
単行本:全60巻
文庫版:全30巻
カジュアルワイド:全25巻
愛蔵版:全30巻
特徴
  • 「三国志」漫画の先駆け
  • 読みやすい絵とストーリー
  • 全60巻という長大ストーリー
  • 蜀が滅亡するまでを描いている

あらすじ(Story)

時は中平元年(今から約1800年前)、黄巾賊と呼ばれる盗賊集団が村を荒らしていた。
その現状を憂う村人青年「劉備玄徳」は母から漢王室に繋がる自分の出生の秘密を聞かされ、疲弊した世を正し民衆を救う事が自分に与えられた使命と感じた。
そして縁あって出会った豪傑「関羽」「張飛」と義兄弟の契りを結び、漢王朝復興を目標に立ち上がるのだった。

長所(Good point)

★難しい話ながら、ライトな読み応え
  • 三国志といえば、その長編と政治等の絡みから気軽に読める話とは言い難い雰囲気があるが、本作は子供であっても気軽に読めるように配慮されている。
  • 殆どの漢字にルビが振られている事も素晴らしい。
★多くの戦略
  • 大昔という時系列の為、戦争といえばまさに「戦争は数だよアニキ」な時代だったと思われるが、徐庶の登場以降、戦略を駆使した戦いが主になってくる。
  • 劉備軍は数では劣る戦闘が多い事もあり、個人的にはココから面白い。特に当時は迷信が信じられていた時代でもあり、コレを心理的に活かした作戦が展開されたり、人心を掌握した戦略もあったりと見てて飽きない。

感想(Review)

あの有名な作品「三国志」が漫画に!といっても、管理人は本作しか読んでいない為、正史も知らないというにわか読者にあたります。

内容としては、さすがに歴史を描いた作品だけありリアリティに富んでますね。逆にリアリティ無いのは将軍クラスが強すぎるくらい。槍一本で100人くらいラクラク蹴散らすくらいは容易にやっている。

戦いだけでなく、各国の内政や戦略といった所にも見所があります。
しかし個人的に一番見所だったのは「仁義」ですね。義兄弟の契りを結んだ関羽と張飛は勿論、多くの人間が劉備の人徳に惹かれて仲間になっていくのは見てて気持ちが良いです。
後半の主人公とも言うべき孔明も、劉備の「三顧の礼」に応え、その生涯を捧げたその「義」は男として涙無しに見ることはできません。その劉備が死して尚「先帝の念願を叶える」として仕え続けてますからね。

ただ、その劉備の息子がバカ息子すぎましたね…こんなバカが帝やってるんだから、孔明や多くの兵士も報われない…そういう所もリアリティを感じる名作ですね。多くの三国志読者が魅了されるのもムリはありません。機会があれば別の「三国志」も見てみたいですね。正史も含めて。

おまけ - 数々の見所(ネタ含む)

BIG張飛
張飛初登場シーン。呂布を除けば最強キャラとの声も高いだけに無双っぷりを見せつけてくれます。
だが…人間とは思えないサイズをしているのが問題。まあこれだけのパワーキャラなので、ムリはないのかもしれない。と思いきや、話がちょっと進むと普通のサイズになっている。あれか?あまりに強すぎて大きく見えるという現象か?横山先生はその心境を描いてみせたということなのだろうか?


ハイパー典韋タイム
典韋があまりに強すぎる為、武具を奪った上で寝込みを襲う作戦を取った兵士だったが…素手でも圧倒的強さを見せつけた典韋だった。弓矢ですら素手で弾き落としている。その戦闘のワンシーンが下図。パンチする典韋がハート目?愛のムチかな(゚Д゚;)


くじびき
第16巻のシーン。戦闘を仕掛ける順番を押し付け合う2人。ラチがあかなくなった為、くじ引きで決める事に。(この時点でシュールなのだが…)
くじ引きに対して深呼吸する劉岱。準備体操をする王忠。そして当たりを引いてバンザイして喜ぶ劉岱。
シュールとかそういうのを通り越して、もはや可愛いレベルw


超威力槍撃
第18巻のシーン。関羽が敵との一騎打ち。しかし実力が違いすぎて楽勝。
その攻撃が、どうみても柱ごと首を跳ね飛ばしている。どんだけ攻撃力あるんだ(゚Д゚;)


一騎当千張飛
第23巻のシーン。何十万の兵を引き連れて追撃する曹操を止める為、張飛が単独で橋に陣取った。
シルエットなのも相まったこの威圧感。通れる気がしない。
しかし張飛といえど一人。ある程度の被害を覚悟して挑めば曹操軍が張飛を倒して通る事は出来ただろう。しかし、単独で張飛が守りに入っている事自体おかしい、奥には罠があるのではないかと睨んだ曹操は退却を命じるのだった。(実際は、そう思わせる為の罠だったのだが)


奇特な寝方
第25巻のシーン。周瑜の元に差し向けられた曹操の手の者(周瑜にとってはかつての友人)。そうとは知らずに周瑜は飲んで食って共に眠る事に。
それ自体は珍しくないのだが、奇特なのはその寝方。なぜ互い違いに寝ているのだろうか?そもそも他の寝床はないのかな?(゚Д゚;)


曹操ビックリ×3
赤壁の戦いにて、孔明は曹操軍の敗走ルートを見越し、兵を置いて曹操を討つ準備をしていた。
第一軍として趙雲。曹操は「げえっ」と叫んで必死に逃走。

第二軍は張飛。「わわわっ」と泡食って逃走。

第三軍として関羽。「げえっ関羽!」関羽のドヤ顔が凄い(´▽`;)

天下を取ると息巻いていた帝王も、こうなると哀れだな…と思わざるを得ない。
とはいえ、恥も外聞も捨てて、関羽に命乞いをしたからこそその後の繁栄もあったというものだが…。

ナメプ兵士
第31巻のシーン。城に籠城している敵将を引きずり出す為、包囲している兵士が挑発するシーン。感情的な敵将には効果覿面だったが、誰でもムカついておかしくないシーンである。特に5コマ目(´▽`;)
ていうかこの距離なら弓矢でも攻撃出来るんじゃないだろうか…?


反乱軍ソング
第38巻のシーン。反乱軍が立ち上がったシーン。私腹を凝らす連中を裁く為に立ち上がった正義の使徒達…のハズなのだが…「死ねや死ねや」言ってるのが怖い為、カルト集団にしか見えない(゚Д゚;)


朕はアイドル
第44巻のシーン。曹操の息子である曹丕が兵に出兵を命令するが、今は敵の士気が高すぎるのでよしとけと忠告される。その言葉に対し、曹丕は「敵が鋭気100倍あろうとも、我が軍も朕が直々出陣とあらば勇気100倍になるわ!」
無敵の武将と謳われた将ならまだしも、親の七光りが出てどうなるというのだろうか…とはいえ、結構な効果はあったようだが。王が直々に出る事自体が大事という事だろうか。


駄々っ子将軍
第48巻のシーン。劉備死後、孔明は南蛮を後顧の憂いと感じた為、南蛮行を開始し、南蛮王である孟獲率いる部隊と対峙する事になる。
しかし孟獲という男は所謂「脳筋」であり、戦力、及び地の利で圧倒的に孔明軍に勝っていながらも知略で負け続ける。孔明としては南蛮の支配よりも協力を願っていた為、勝っても孟獲は赦免していた。
それを繰り返す事5度目。あまりに負け続けていた事が悔しいのか、下図のような悔しがりっぷりである。なんと無様な…(´▽`;)
とはいえ、七度目の敗北をもって孔明に心酔するようになるのだが。遅すぎる(゚Д゚;)



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