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ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅 / レビュー(ネタバレ含む)

更新日：2023.12.16

長所(Good point)

★面倒だった部分が改善(前作比) 性別の概念が無くなった為、配合の際に色々考える手間が無くなった。 配合時に転生の杖を装備させなくても種族を継続できる様になった。 一方で検索配合の際にお気に入り設定のモンスターは除外できない等、惜しい点も散見される。

★移動時に3次元的な要素が強化された ジャンプで多少の段差なら乗り越えられたり、高い所から飛び降りたりといったアクションゲーム的な移動が可能になった。 前作にもジャンプはあったが、段差を乗り越えたりは出来ず、ダメージゾーンを軽減するくらいしか存在意義が無かった。

★ストーリー性が高い これまでのDQMシリーズは「国を救う為に各世界の問題を解決する」等のオムニバス形式が多く、黒幕との因縁も薄かったりと印象に残らないストーリーが多い傾向にあったが、本作はDQ4のスピンオフとしてストーリー性が濃い。 但しあくまでもパラレルストーリーと位置づけられており、イマイチ納得できない流れも散見される。(後述)

短所(Bad point)

★前作に比べてボリュームダウンした 前作はモンスター総数が1000以上あったが、本作は500以上と寂しい事になっている。 サイズも4種あったのが本作では大小2サイズに留まっている。(これは良い意味でシンプル化とも取れる) ステルスや海渡りといったプレイヤースキルが無くなっており、前作以前にあった「冒険を進める度に可能なアクションが増える楽しみ」が減った。 テンションやリバースといった各種要素も無くなり簡略化されている。良く言えばプレイヤー間口が広がり、悪く言えば戦略性が低下している。

★稀にフリーズする 管理人はモンスター図鑑のページ切り替えで2回フリーズ経験あり。 他にもエクサアリーナで長期戦したらフリーズしたり、噴出孔で浮いたまま動けなくなったりといった事例がある模様。 煉獄峠の火雨時等は特に重く処理落ち状態になる。フリーズに至るほどではないがスペック的に無理があるのかもしれない。 オートセーブ機能があるのが不幸中の幸い。卵リセマラの為にOFFにしてたら泣いていい。

★全体的に暗転時間が長め 特に配合時はローディングが長い。これはモンスター数に限らず長い。 ボタンレスポンスも微妙に遅く、テンポが悪い。

★たまごシステムが酷い 中盤以降は各所に卵が配置される様になり、調べると即座にモンスターがランダムで加入するというシステムがあるが、これでしか加入できないモンスターがいる。 そしてその卵専用モンスターを配合しないと生成できないモンスターがいる。 卵はその広い魔界に3つ設置されており、回収してからは10戦勝利するとリポップする仕様となっているが非常に時間が掛かる。図鑑を揃えたいならこれに耐えるしかなくタダの苦行となっている。 せめて卵レーダーとか移動が加速する方法でもあれば良かったのだが…。

感想(Comment)

本作は「ドラゴンクエストモンスターズ」25周年記念作品にして、前作(DQM2 マルタのふしぎな鍵)から22年ぶりのナンバリングタイトルとなっています。

キャッチコピーは「魔族のカリスマよ、真の王を目指せ」

主人公はDQ4の人気悪役であるピサロで、その生い立ちから始まって勇者達の活躍の裏でどのような行動をしていたのかが分かる内容となっています。(但しこれは本編とは別のパラレルである事も明言されている)


度々、導かれし物たちとも関わるので、原作ファンとしても嬉しい。

本作では、ピサロは魔族の王と人間の女性との間に生まれた混血児で、幼い頃に共に魔界を追放された母からは「人間よりも人間らしく生きなさい」と教えられてきた為、人間から迫害されても逆襲しないモラルの高い人物として育ってきた経緯がある。これは道中で仲間になるベネットが盗みを働いている事にも難色を示す程。
そんなピサロは数々の魔界で魔物達を救っては信頼を勝ち取り、父とは違う方向で魔界を支配していく。

↑困ってる魔物。可愛い

そんな温和で中立な方向から力を蓄えていたハズが、中盤から何のキッカケもなく唐突に「魔界の王になる為なら人間に対して手段を選ばない人物」へと変化する。以降「そんなピサロにロザリーが難色を示す」等、原作通りの関係にはなるんですが、原作ピサロの思考に合わせる為に唐突に寄せられた様にしか感じられないので、そこはもうちょっと理由が欲しかったかな(・ω・｀)
ドラクエ主人公の伝統に則って本作のピサロは全く喋らないのもあって、そんな心境変化が見えてこないので謎に拍車をかけている。

また、今作のピサロには兄と弟がおり、勢力争い的な図式になっているが、その兄がピサロの名を騙って勇者の村を滅ぼしたという内容になっている。
なるほど…そういうテイにすれば勇者はピサロを許せるのかもしれないな…と思ったり。後付けだしパラレルなんだけど、リメイクDQ4では勇者はよく第6章でピサロと行動をともに出来るなと思っていたので。

ちなみに後半では選択を誤ると原作通りに勇者たちに倒されるBADENDとなります。



これまで救ってきた魔界までも蹂躙しているのを見ると悲しくなる(；A；)

ちなみにそんなBADENDも人間の友であるベネットが時の砂で救ってくれる。

このベネットはDQ5にいたあのベネット爺さんなのだろうか…
DQ4→5は数百年の開きがあるとされているので「長生きってレベルじゃねーぞ！」と思ってしまうけど、そこは魔法研究家として何とかしたのかもしれない。

選択肢がやたらと多い割に全て意味がないのも気になる。(どっちを選んでもセリフが変わるだけで流れは変わらない)
まあ分岐ルート作るのも大変だし、これまでのシリーズにもそんなのは無かったのでお遊び要素と捉えるのが良いですかね('へ'；)


さてゲームシステムはというと、まずやはり気になるのは前作に比べて省かれた要素が多い事。
モンスター総数半減が一番残念…せめて前作と同等の1000種近くはあって欲しかった。

あとよく言われてるのは…

今時の作品にしてはテクスチャが荒い事。「PS2か？」などと揶揄されている。
個人的には十分だと思うし、グラフィックなんてゲームの面白さとは直接関係ないと思うので欠点とは思いません。(レトロゲー好き特有の思考)
ただ、そこんとこを抑えたワリには処理落ちもするしフリーズもするのは気になります。
switchは低スペックなのは分かりますが、それならヌルヌル動けるモンハンとかはどうなんだ？と言いたくもなるし。

他にもテンションやリバース、赤黒の霧等のトリッキー系な特技も撤廃されており、対戦環境はかなり戦略性下がってるんじゃないのかなと。新生配合(特性引き継ぎ)も無くなってるので使われるモンスターは限られてくると思います。
ステルス等のプレイヤースキルが無くなったのも残念。冒険が進むごとに出来る事が増えるのも面白さの一つだと思うし、戦闘速度も前作は3倍があったのに2倍止まりなのも「シリーズとして退化してないか？」と思ってしまう。

初代から当然のようにあった「性別と配合値」も撤廃されたのが個人的には衝撃でしたが、これに関しては英断だと思います。
性別がなくなるとメガテンシリーズみたいに気軽に配合できるし、配合値も考えてみれば+99でない一軍以外が使いにくくなる傾向がありました。初心者も入りやすくなるし。

あと季節システムは個人的には微妙だと思いました。綺麗だし各フィールドが多くの姿を見せてくれるのは良いんですが、該当する季節にしないと行けない箇所があったりするのは単純に面倒。裏クリアまで行くと切り替えアイテムが手に入りますが、順繰りにしか変えられないので春から冬にしたい場合は3回使う必要があり、しかも変なクールタイムがあって連続して使えない。

そして何よりの害悪が卵システム。運ゲーかつ時間を浪費する内容は今の時代にそぐわないと思います。
完全クリア後でもいいから卵レーダーとか移動速度が早くなる要素、あるいは卵専用モンスターを廃止(配合で作れる)にしてくれれば良かったかなと思います。
卵はあくまで一つのスカウト手段に留まってほしかった。

おかげで僕の冒険は図鑑100%に出来ずに断念。さすがに卵マラソンだけに10時間とか20時間とか費やせない…。

以上のように、色々足りない面から考えて多分DQM3プロフェッショナルが後日発売されるんだろうなと思いますが、これも新品フルプライスで買ったプレイヤー程ワリを食うので止めて貰いたいなと思いますね。

一方で「DQMシリーズのラスボスはいつもトラウマレベルに強い」と思ってるんですが、今作は普通に倒しやすいのはありがたかったですね。
これも相まって今作は初心者向けな作品になってると思います。売り上げも良いみたいですしDQMプレイヤー増加に繋がったのなら商売として成功かなと思いますね。
個人的には「システム面は劣化したけど大好きなDQ4のアナザーストーリーを見せてくれた良作」という感想です。

勇者…お前いつのまにそんな典型的なライバルキャラに？ｗ

エンディングに大好きなDQ4のED曲(当時のサントラのオーケストラバージョンっぽい曲)が流れたのも感動しました。
何だかんだで面白かったですヽ( '▽')ﾉ



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